飲食店がオープン時に高い評価を受けるというのは最近ではよくある話です。客側には新鮮ですし、お店側にも勢いがありますからね。ところがその状態を何十年も維持できるお店は極めて少ないです。それどころか、昨今の飲食店は1?2年で閉店、撤退するケースがよく見られます。多くの人に愛され、高い評価を受け続けて何十年も経過したお店というのは、やがて伝説的な存在になっていきます。そうなると評価の中に敬意が込められるようになります。珈琲を提供するお店で言うならまさにこの「珈琲ひいらぎ」こそ、その伝説的なお店の典型です。カウンターに座ってマスターの手際のよい熟練の技を見ていると、長年強いモチベーションを維持してこられた矜持が伝わってきます。そして奥深いコーヒーの香りと味、レコードで聞かせてくれるクラシックの調べ、気さくなマスターの話、ずらりと並んだコーヒーカップの美しさに魅了されて、そこにいることができた時間そのものにお金を払いたくなります。自分が使うコーヒーカップはどれでも好きなものを選べます。国内国外の様々な種類の中から一つを選ぶのはなかなか大変ですが、それがまた迷う楽しみでもあります。客層もいいので静かで落ち着いた時間を過ごせます。こういう”伝説的なお店”を御用達にできるようになりたいです。
(えしぇ蔵)
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