このお店は店名から既にその力量を誇示しているように見受けられますので、まだ食べたことはないけどその意味がわかるという方には大いに期待感を抱かせるのではないかと思います。「アルティザン」というのはフランス語で「職人」という意味です。ドイツ語で言うところの「マイスター」にあたります(ドイツの「マイスター」はきちんと制度化されており、しっかりした技術や知識を習得していないと名乗れるものではありません)。日本語で表現する場合、単に「職人」というと本来のニュアンスが十分に伝わっていないような気がしますので、えしぇ蔵なりに訳すとすれば、「匠」としたいところです。つまりただ単に特殊な技術を要する仕事についている人というだけではなく、その中でも極めて優れた技術を持っており、指導を行うこともでき、同業者の中でも一目も二目も置かれている人というふうに受け止めています。そんなすごい名前を冠したこのお店の実力や如何に、というとこれが見事に名前に相応しい仕事をしているから嬉しくなってしまいます。パンはハード系が中心ですが(アルティザンという名前ならハード系であって欲しいところです)、どれも納得のお味。味も食感もなるほど簡単に出せるものではないというのが誰にもすぐわかると思います。特に優れたお店に対しては、客は”評価する”という上から目線が”敬意を抱く”という下からのものに変わります。ここも間違いなくそういうお店に分類されると思います。是非、匠の味をお試し下さい。
(えしぇ蔵)
福岡市中央区大手門2-10-17
092-724-6079